お茶との時間

 

私が病気になったとき、

 

自分ができなくなったことばかりを

 

考えて、数えていた。

 

 

ドライアイの症状もひどかったので、パソコンもテレビも見られない。

 

商業施設のような大きな建物は乾燥がひどいので、

 

5分も経つと目を開けていられず、吐き気に襲われていた。

 

風の強い日や乾燥している日もほとんど歩けない。

 

車に乗せてもらってもエアコンはつけれない。

 

 

どこかに行くのも億劫になっていた。

 

 

 

大好きだったのにできなくなったこと

 

本を読むこと

 

編み物

 

お裁縫

 

刺繍

 

細かい作業をすること

 

どこかへ出かけること

 

 

 

できなくなったことばかりを考えて嘆いていた私に

 

元夫が雑誌の和カフェの記事を読んでくれた。

 

「こういうの好きなんじゃないの?」

 

それは幻の日本茶と呼ばれるお茶の話だった。

 

『飲んでみたい!』

 

 

 

その瞬間、それまで、

 

あんなに大好きだったお茶を飲むことさえ忘れていた。

 

ことに気づいた。

 

 

 

 

ああ、そうだった。

 

こんなに私はもう何にもできないと思っていたのに、

 

私はいつでも一杯のお茶を楽しむことができるじゃないか。

 

 

お茶を選んで、

 

器を選んで、

 

ゆっくりと淹れて、

 

湯気を楽しんで、

 

手の中の器の温かさを感じて、

 

香りを吸い込んで

 

味わう。

 

そしてそれは心と身体にぬくもりを運んでくれる。

 

 

大げさに聞こえるかもしれないけれど、

 

私は『お茶』に人生を救ってもらった。

 

 

 

雑誌に載っていた和カフェのお茶セミナーにしばらく通っていた。

 

 

お茶を淹れるのに一番大切なことは、

 

温度でも茶葉の量でもテクニークでもなく、

 

「お茶と一緒にいること」

 

あの時はまだあまり意味が分かってなかった。

 

 

 

今でもなんだか行き詰った時とか忙しい時はまずお茶を淹れる。

 

あの時は分からなかった「お茶と一緒にいる」とは

 

「自分と一緒にいる」ってことだったんだなあ。と。

 

 

今日も私はお茶を自分のために淹れる。

 

 

そして、できることからやってみる。

 

 

 

本日、Podcastを更新しています。

自分が焦っていた時って、このころだったかな?

と思い出してみました。

 

今回のエピソードは焦りとサードギア加速です。

 

車を運転しない方、ぜひその辺はイメージで!(笑)

 

リンクはこちら。

https://anchor.fm/masami2911/episodes/W-e1uvu95