Bon Dance

子供のころ盆踊りが大好きだった。

 

 

お囃子が聞こえるとたまらず、

 

大人の手を無理やり引いて音の方へ連れて行く。

 

車に乗っていてもお囃子が聞こえれば車を停めてもらい、

 

それが通りすがりの街であろうと

 

どこであろうと輪に飛び込んで踊る。

 

そんな私を親たちは呆れて見ていた。

 

 

夏休みにあんなにあちこちで聞こえていたお囃子は

 

一体いつから聞かなくなったのだろう?

 

 

この夏、LAのお寺でBon Danceがあると聞いて出かけてみた。

 

 

LA在住の日本人がたくさん集まるのかと思いきや、

 

日本語は全然聞こえてこない。

 

アメリカナイズされた屋台で一番にぎわっていたのは『DANGO』

 

団子?

 

気になって並んで買ってみる。

 

どう見ても食べてみてもサーターアンダギーの気がする。

 

何処からか流れてくるど演歌を聴きながら、ビンゴゲームに参加する。

 

うん。異文化交流って感じがいいね。

 

そのうちに何処からかお囃子が聞こえてきた。

 

懐かしいあのリズム。

 

行ってみると、様々な肌の色の若者たちが笛や太鼓を叩いている。

 

UCLAの同好会のようだ。

 

中々の腕前でパフォーマンスも格好いい。

 

何よりお腹に響いてくる太鼓の音が心地よくて聞き入っていると、

 

相棒が「なんて気持ちいいんだろうね。」

 

そうか。

 

音楽って文化や人種は関係なく、

 

同じ感覚が味わえるんだね。

 

嬉しいね。

 

太鼓のパフォーマンスに盛り上がり、盆踊りの時間が迫ってくると

 

どんどん人が集まってくる。

 

それぞれが自分たちが日本っぽいと思う格好をしている。

 

盆踊りに絵羽織?なんて、

 

未だ日本のルールに囚われている私にとって全てが驚きで新鮮だ。

 

それにしてもさっきから日本語を全く聞かないけど、

 

音楽は英語なの?

 

普通に炭坑節とかがかかるとはとても思えない。

 

 

 

これから何が起こるんだろう?

 

 

 

ワクワクしながら待っていると、音楽が流れる。

 

懐かしい本当に普通の盆踊りだった。

 

 

 

嬉しくて、可笑しくて踊りだす。

 

盆踊りなんて何十年ぶりだろう?

 

 

 

周りの会話から察するに盆踊り好きの人たち(Bon Dance Lover?)は

 

夏の間あちこちのBon Danceに参加しまくるようで、

 

ほとんどの曲の振りをパーフェクトに覚えている。

 

そんな達人たちの踊りをまねながら輪は進む。

 

中にはちょっと英語を盛り込んだ新しい曲や

 

団扇や手ぬぐいなどの小道具を使った振り付けもある。

 

 

 

真ん中には櫓。

 

それを三重に囲み3ブロックにも及ぶ大きな輪。

 

様々な人種の人が

 

おそらく全く意味のわからない言葉の曲に合わせて

 

ものすごく楽しそうに踊る。

 

曲が進むにつれさらにどんどんノッてくる。

 

 

 

勝手にどこかで日本のリズムは泥臭いとかダサいとか

 

日本人にしか分からないと思っていたことに気づく。

 

 

 

その日本人がだんだん忘れてしまっているこの行事を

 

こんな遠くの空の下で

 

ありとあらゆる人がこんなに楽しんでいる。

 

 

 

いっぱいの笑顔の輪に囲まれて、

 

うれしくてうれしくて胸が熱くなった。

 

 

 

なんだか日本人としての

 

大事な欠片を取り戻した気がする。

 

今日、この場に来させてくれた全てに感謝。

 

 

ありがとうございます。